立ち上げ期に必要な役割と人数感の考え方

新規事業は少人数でも始められますが、検証を回し切るには役割が足りずに詰まりやすいものです。本記事では、立ち上げ期に最低限必要な役割と、リソース不足への対処法を解説します。

yap編集室|

新規事業は少人数でも始められますが、検証を回し切るには役割が足りずに詰まりやすいものです。リソース不足を「根性」で埋めず、意思決定の遅れを減らす方法を解説します。


この記事でわかること

  1. 立ち上げ期に必要な役割: 顧客開拓・商談・企画・プロトタイプ・分析・運用の整理
  2. チーム人数の目安: 少人数で回すための兼務の組み方
  3. 外部活用の判断基準: 何を外部に出し、何を内製すべきか

基本情報

項目内容
トピック新規事業チームの組成
カテゴリ組織設計ガイド
難易度中級(事業責任者向け)

なぜチームが足りなくなるのか

新規事業の特性

新規事業は「総合格闘技」です。事業作り・ものづくり・社内調整など、様々なスキルが求められます。

最初は少人数でスタートするため、一人が複数の役割を担うことになります。しかし、役割が増えると各タスクの質が下がり、進捗が遅れます。

よくある詰まりパターン

状況原因
顧客ヒアリングが進まない営業と商談の役割が不足
プロダクト改善が遅い開発と分析の役割が不足
社内調整に時間がかかる社内根回しの役割が不足
意思決定が遅れるリーダーが実務に追われている

立ち上げ期に必要な6つの役割

1. 顧客開拓

見込み顧客を見つけ、アプローチする役割です。

タスク内容
リスト作成ターゲット企業のリストアップ
初期アプローチメール、SNS、紹介依頼
リードの管理商談につなげる見込み客の管理

2. 商談・営業

顧客と対話し、課題を深掘りして契約につなげる役割です。

タスク内容
ヒアリング課題・ニーズの深掘り
提案ソリューションの説明
クロージング契約・合意の獲得

3. 企画・プロダクトマネジメント

何を作るかを決め、プロダクトの方向性を管理する役割です。

タスク内容
要件定義機能・仕様の決定
優先順位付け何を先に作るかの判断
ロードマップ管理開発計画の策定と調整

4. プロトタイプ・開発

プロダクトを実際に作る役割です。

タスク内容
設計アーキテクチャ、UI/UX設計
実装コーディング、機能開発
テスト品質確認、バグ修正

5. 分析・検証

データを集めて分析し、意思決定に活かす役割です。

タスク内容
データ収集利用ログ、顧客フィードバック
分析指標のモニタリング、インサイト抽出
レポート経営・チームへの報告

6. 運用・サポート

サービスを運営し、顧客をサポートする役割です。

タスク内容
カスタマーサポート問い合わせ対応
オンボーディング導入支援
運用監視システムの安定稼働確認

チーム人数の目安

本格投資前:1〜3人

本格投資を受けるまでのチームの人数としては1〜3人が適当です。

人数兼務の組み方
1人全役割を1人で(限界あり)
2人営業系+開発系の分担
3人営業+企画+開発の分担

検証フェーズ:3〜5人

社内メンバーは5名前後で十分で、PdMと、それ以外の人はサービス立ち上げに必要な知識を持ったメンバーで揃えるのが良いとされています。

推奨構成役割
PdM企画・優先順位決定・全体管理
営業顧客開拓・商談
開発(2名)プロトタイプ・実装
バックオフィス社内調整・運用サポート

奇数を選ぶ理由

意思決定の観点からチームメンバー数が偶数になるのは避けた方がよいです。2人・4人は意見が分かれてしまい、意思決定が遅れてしまうリスクがあります。

意思決定の観点からは奇数が望ましく、3人か5人が理想的とされています。


兼務の組み方

兼務のパターン

少人数の場合、以下のような兼務が現実的です。

組み合わせ相性の理由
企画+営業顧客理解がプロダクトに直結
開発+分析データ基盤とプロダクトが近い
営業+運用顧客接点を一気通貫で担当

兼務の限界

以下の組み合わせは避けた方がよいです。

避けるべき兼務理由
リーダー+実務全部意思決定が遅れる
営業+開発集中時間が取れない

外部活用の判断基準

外部に出しやすい領域

人数が増やせない場合に、何を外部に出し、何を内製すべきかの線引きが重要です。

領域外部化しやすさ理由
特定技術の開発専門性が必要
デザインスポット対応可能
マーケティング運用運用系はアウトソース可
法務・経理専門家に依頼

内製すべき領域

領域内製すべき理由
企画・戦略コアコンピタンスに直結
顧客との対話課題理解が事業の根幹
プロダクトの方向性外部に任せるとブレる
意思決定スピードが生命線

外部人材活用のタイミング

新規事業の立ち上げ期には、適切な人材の選定に尽力することが重要です。初期段階に多くの作業が発生するため、最初は社員同様に手を動かしてくれるような人材を集めることをおすすめします。

ある程度事業が定まってくれば人数を見直し、事業が軌道に乗れば、外部人材に頼らず、自社の社員のみで回していくことで、人件費を抑えられます。


強いチームを作るためのポイント

リーダーの重要性

新規事業開発のチームをつくる上で最も重要なのは、強い気持ちを持つリーダーがいることです。

特にアイデア創出や顧客ヒアリングの段階では、スキル以上にチームのモチベーションが活動を支えます。新規事業は「ステージ」によって生きるスキルが変わり、多様化していくものです。

メンバー選びの観点

新規事業の成功は、アイデアや資金だけでなく「誰とやるか」が大きな鍵を握っています。

特に立ち上げフェーズでは、少人数で多くの役割をこなす必要があり、柔軟性・実行力・問題解決力を持ったメンバーが不可欠です。

求められる特性具体例
柔軟性役割の変化に対応できる
実行力決めたことをすぐ動かせる
問題解決力壁にぶつかっても諦めない
コミュニケーション力社内外との調整ができる

経験者を入れる効果

新規事業立ち上げの経験者を採用する方法があり、経験者が1人でもいると、チームはまとまりやすくなります。

スピード感を重視する場合は、即戦力の外部リソースを活用することも有効です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 1人で新規事業を始めることは可能ですか?

検証フェーズまでは可能です。ただし、全ての役割を1人で担うため、スピードには限界があります。早い段階で少なくとも1人のパートナーを見つけることを推奨します。

Q2. 兼業・副業メンバーは使えますか?

使えますが、コミットメントの確保が課題です。週に確保できる時間を明確にし、その時間内で完結するタスクを任せる設計が必要です。コアな意思決定に関わる役割は専任が望ましいです。

Q3. 既存事業から人を異動させるべきですか?

可能であれば、既存事業の経験者を1名入れることで、社内調整がスムーズになります。ただし、既存事業の考え方に縛られすぎると新規事業に向かないケースもあるため、バランスが重要です。

Q4. チームの評価制度はどうすべきですか?

既存事業と同じKPIで評価すると、新規事業の特性(短期で成果が出にくい)と合いません。学習量、検証数、顧客インタビュー数など、プロセス指標での評価を検討してください。

Q5. チームが大きくなるタイミングはいつですか?

PMF(Product Market Fit)の兆しが見えたタイミングが目安です。具体的には、リピート顧客が出始めた、口コミで顧客が増え始めた、需要に対して供給が追いつかなくなった、などのサインがあれば拡大を検討します。


まとめ

主要ポイント

  1. 6つの役割を棚卸しする: 顧客開拓・商談・企画・開発・分析・運用を整理し、漏れを確認する
  2. 少人数で始める: 3〜5人で兼務しながら回し、奇数で意思決定を速くする
  3. 外部活用の線引きを明確に: コアな意思決定と顧客対話は内製、専門スキルは外部活用

次のステップ

  • 現在のチームで6つの役割がどう分担されているか可視化する
  • 足りない役割を特定し、兼務または外部活用を検討する
  • チームメンバーの特性(柔軟性・実行力)を確認する

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参考リソース


この記事を書いた人

yap

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株式会社yapの新規事業開発コンサルタントたちによる編集チームです。新規事業の仮説検証・PMF設計、営業推進に関する知見を、さまざまなプロジェクト支援の経験をもとに発信しています。